舞台『宝塚BOYS』を観てきました

とみ~とおみぞの出演していた舞台『宝塚BOYS』を観てきました!

千秋楽が9月2日だったので今さらという感じもするのですが、どうしても感想を書き留めておきたかったので書きます。

私は大阪公演の1日、2日(大千秋楽)を観劇しました。内容など思い切り触れていますので気になる方はご注意ください。あとアホほどダラダラ長いです!こんな長くするつもりはなかった!!なんで?!?!

 

 

 

 

 

過去の公演も気になってはいたのですが、なかなかタイミングが合わず、観劇は今回初でした。だいたいのあらすじは何となく知っていたのですが、東京公演を観に行ったフォロワーさんが、すごくよかった…!と口々にお話されていたので、観る前から大阪の2公演しか観られないことがとても悔しかったです。

 

 

「宝塚男子部」の名の元に集まった7人の青年たち。きっかけをつくった上原さん、歌うことがだいすきな竹内さん、いつも笑顔でムードメーカーな太田川さん、芝居がしたいという長谷川さん、強面だけどほんとは優しい山田さん、気遣いのできるかっこいい竹田さん、抜群のダンスセンスを持つ星野さん。

実際にずばりという人物がいたわけではなく、宝塚男子部にいた人々の集合体だとどなたかがお話されていたのですが、それぞれの人物が本当に素敵で愛しくてだいすきでした。

 

 

舞台は爆撃の音の中、暗闇に1人立つ上原さんのシーンから始まります。飛行機の音におびえ、空襲に驚き、そして玉音放送に崩れ落ちる。2日の大楽は上手側の席で、上原さんの目の前だったのですが、その表情や息づかいに圧倒されました。

うずくまる上原さんの耳に聞こえる歌声。それに顔を上げる上原さん。このシーンだけで、彼が小林先生に手紙を送った気持ちがものすごく伝わって泣けました。そして、きっとこの時の上原さんと同じように、宝塚の歌声に救われた人たちはたくさんいるのだろうなと思いました。

 

全体の感想は収集がつかなくなるのでそれぞれの人物について。

きっかけをつくった上原さん、まとめ役に任命され、個性的な部員をなんとかしようと奮闘するところがとてもかわいらしかったです。ちょっと気が弱くて、まじめで、仕切るというタイプではないけれど、でも最後にはやっぱりこの人がリーダーだなあと思える人でした。

最初に池田さんと会話するところ、回天の基地にいたとお話するシーン。「たくさんの仲間を見送り…」と言い淀むところにこころがキュッとなりました。そのあとのシーンでも、彼らの分まで、という発言や姿勢が見られ、戦後自分が生き残ったことに申し訳がないという気持ちがあったのではないかなと思います(これは他の部員も感じていたことかもしれません)

稽古場を愛しそうに眺めるその視線がすきでした。ピアノにすら愛しそうに触れて、すみれの花やモン・パリを弾く姿が、すごくすごくすきで。下手側の席につけなかったので、もっとその姿を近くで見たかったなあと思います。

公演に出演できることが決まったと同時に手紙事件が起きて、名乗り出るまで僕は寝ません!!!と言いきるところ。自分が選ばれた大劇場への出演が取りやめになるのを防ぎたいというのが一番大きな気持ちとしてあるわけではなく、リーダーとしての役を全うしようとしているところに真面目さがにじみ出ていると思いました。

そのあと、手紙が間違いだったとわかり、大劇場への出演が「馬の脚役」だと知ったところでヤケになる上原さんはかわいかったです。かわいかった、けど、やりきれないだろうなとも思いました。

合同公演が決まり、池田さんからその台本を受け取った後に賞状授与のようなやりとりをするところがすきでした。そのくらい嬉しくて神聖な台本!フランスを再現しようとわたわたするシーンも、竹内さんと得意げに「花!」と胸を張るところがかわいらしくて…!君原さんとのダンスシーンも、とてもすてきでした。

ラストのレビューシーン、ステージの真ん中で歌い踊る、上原さんは輝いていて、彼の夢は叶っただろうかと思った。いや、叶ってはないのだけど。口上?のパートの、裏返る「任せとけぇぇぇい!」がだいすき。レビューが終わり、魔法がとけたあとのようなステージで、崩れ落ちる姿がとても苦しかったです。

たかとくんはこのヅカボで初めてお芝居を観た俳優さんだったのだけど、華奢でとてもかわいらしい方だなと思いました。上原さんにそういうイメージを抱いたのも、たかとくんがそういう方だったからなのかもしれない。でもすごく熱いお芝居をされる方だなあとも思いました。

千秋楽の挨拶で、彼らのその後を観た方に感じてほしかったから一番最後に稽古場を出るシーンでその後の話を全くしないという演出を裕美さんにお願いしたとお話されていたことに、すごいなあと思いました。たしかに、彼らの夢は散ってしまったかもしれないけれど、「未来」はあるのだと思える終わりでした。

 

 

歌の上手い竹内さん。普段はみんなをよく見ていて、穏やかな優しい青年という人物なのに、自分の信じることに対しては決してブレない。竹内さんのすごいところはそのこころの曲がらなさだと思います。「折れなさ」というより「曲がらなさ」。

戦時中に上海で、上官に対して「戦争はきらいです」とはっきり口にできるところ。も~あまりにもすごい。そりゃ顔の形が変わるほど殴られる。でもきっと竹内さんは発言を最後まで撤回しなかっただろうなと思います。口上にもある「美しいものは美しい!」というフレーズも、竹内さんをとてもつよく表現しているなあと思いました。

もう一つの「つらいときこそ歌いましょう!」も、竹内さんが歌うことがすきなのだなぁとすごく伝わる言葉だなと思います。最初のお稽古のシーンで、音楽に合わせて歌う竹内さんの顔がどんどん明るくなっていくのが、たのしい!と感じているんだろうなと思って、すごくすごくすきでした。

大劇場への出演メンバーに選ばれなかったところ。最初は手紙事件の犯人だからあんなにも静かなのかなと思っていたけれど、本当に2人に選ばれなかったことがショックだったというのが分かって、竹内さんはそれだけ真面目に向き合っていたのだと気づき、なんだか失礼なことを思ってしまったと反省しました。

真面目といえば、上原さんとお互いに「わかります!」と言い合って、敬意を払うようにお辞儀をしあうところもとてもすきでした。きっとこの2人は感性が似ているんだろうなと思います。

合同公演が決まり、パリを表現するために上原さんと「花!」とするところににこにこしたし、なにより女性役をに扮する竹内さんがとてもかわいらしかった!星野さんの指示のとおり、足を揃えて、首をかしげて、笑顔を浮かべて……あれで無理だという長谷川さんは贅沢だ!という感想をついったでたくさん見かけたけれど、わたしも同意見です。騒ぐ長谷川さんに対して、こんなに一生懸命やってるのに!とむくれるところもかわいらしかった……。

山田さんたちと話すシーンで、「やさしいやつなんだよな」と声を掛けるところもとてもすきです。この言葉をかける竹内さんの声も、とてもとてもやさしい。彼らの重ねてきた時間というか、それだけお互いのことを知る関係になっているのだと分かる言葉だなあと聞くたびに思いました。

最後の稽古場のシーンで池田さんに詰め寄る竹内さんが、泣きながら崩れ落ちるのを見て、あんなにも強く、どんな時も曲がることのなかった彼のこころが曲げられてしまったと感じた。わたしもとても悲しい、くやしい、つらい。夢のレビューが終わり、稽古場を去るシーンではいつもの竹内さんに戻っていたように見えたのが少しの救いでした。

観終わって、おみぞ、あれだけ忙しい中でこんなにも精神を削るような舞台に出るの、なんてすごいんだと思いました。本当にすごい人です、図りしれない……!

歌が上手い役をやっていることにも、なんだか感動しました。感動、というとちょっと違うな、うれしかったのかな。本人が上手くないと、上手い役はできないと思うので、裕美さんから見てもおみぞは歌が上手いのだなあと思って、謎に誇らしい気持ちになりました。

レビューのダンスシーンも、星野さん役の中塚さんに負けず劣らずダンスが美しくて、思わず目を惹かれてしまった。指先まで、足先まで本当にきれいだった……!細部まで気の配られていると分かるダンスは、竹内さんの誠実で真面目な性格を表わしているようでした。

何様だという偉そうな感想なのですが、トマトに引き続き、おみぞがこんなすごい舞台に出られて良かったなあと思います。ヅカボ経たおみぞ、どうなってしまうんでしょう。きっと、もっともっとすごくなってしまう。たのしみすぎる。

 

 

 ムードメーカーの太田川さん。関西弁ということもあり、登場したときからにぎやかで明るい人だと思いました。たのしいことが大好きで、いやなことはやりたくないんだろうなということが見ていて分かる、とても人間らしいひと。上原さんのことを振り回している自覚が無いまま、いろんな場面で振り回していたような気がします。

昔宝塚で太鼓を叩いていたから、中のことはだいたい分かる!と得意げに話すシーン以外、過去のお話が出てこなかったので、戦時中は何をされていたんだろうと少し気になっていたのですが、病気が発覚するシーンで、なるほどとなりました。理由が分かると「戦争の話はきらいや」と言っていた理由も、単なる暗い話だからきらいというわけではないのかもしれない、といろいろ考えてしまった。

山田さんの話していた過去がウソだったと発覚するシーン、ひとり台所に逃げ込み、お鍋とまな板?をもってガードする太田川さんがかわいかったです。山田さんのことも怖がっていたし、結構ビビリなんだろうな。

病院から抜け出して、ひとり稽古場で鏡の中の自分に対峙するシーン。とても苦しかったです。いまでこそ、病気で徴兵を免れたなんて、ラッキーだなあと思える話なのかもしれないけれど、当時同じ様に「役に立てなかった」と感じていた人は太田川さん以外にもいたのかもしれないと思いました。他のみんなが、生きられなかった人の分まで精一杯夢を追いかけようとしている中、それすらできない自分のことがどれだけ悔しかっただろう。あのシーンはその悔しさが伝わって、めちゃくちゃ泣きました。

芸名の「わらわせたいよう」、最初は駄洒落じゃん!と笑ったけれど、レビューの中の口上で聞くと、よりいっそう太田川さんらしさを感じて胸がいっぱいになります。みんなのことを笑わせてくれる、本当に太陽のような人でした。

塩っちのお芝居を観るのはテニミュぶりだったのですが、熱さがすごい!と感じました。対峙するシーンのお芝居、本当にだいすきです!1日の回の挨拶で、最後のはけるシーンで笑いながら稽古場を去っていくのが、正しかったのかどうかずっと不安だったけれど、元男子部吉井さんのお話を聞いて、よかったんだと思えたとお話していたのを聞いて泣けました。塩っちはあの時代を生きた彼らを感じているんだ、と思えるような話でした。

 

 

太田川さんと同じく楽しいことがだいすきな長谷川さん。他のみんなが怯える山田さんや、遠巻きにしていた星野さんにも自分から笑顔で話しかけに行く姿に、壁の無い人だなあと思いました。それってなかなかできないことだと思います。あまりに長谷川さんという人の、人柄がでていた行動だった……。

戦時中の話をするところ、父は死にましたと話す長谷川さん。そしてミンダナオから戻ってきたと言う長谷川さん。芸名の「長谷川愛之助」という名前はお父さんの名前だっただろうかと思いました。お父さんの名前で、大劇場の部台に立てたら、どれだけ嬉しいことだっただろうかと思います。長谷川さんはあまり多くを語らなかったけれど、夢の途中でいなくなってしまった父親の想いを引き継ぎたい、そして生きて帰ってこれた命を夢のために全力で使いたいと思う気持ちがあったのかもしれないと思いました。

大劇場への出演が決まり、その2名の名前が発表されるシーン、みんなより一歩前に出る長谷川さんがかわいい。恋文事件で出演が無かったことになりそうで、お願いです……!と泣きそうになる長谷川さんもかわいい。馬の脚のプロ(?)として山田さんと竹田さんを厳しく指導する長谷川さんもかわいい。想いを寄せていた女の子が竹田さんのことをすきだと知って、うわ~ん!と子供のように悲しむ長谷川さんもかわいい。とみ~だからという贔屓目もあると自覚していますが、長谷川さん表情豊かでかわいかったな~~~~!!

合同公演の台本に目を通して、女の子とのシーンがあります…!!!!とはしゃぐところもすごく、年頃の男の子だなあと思いました。みんなから手ぬぐいを受け取って、フランス国旗!!と得意げになるところもにこにこしてしまいます。馬に乗って颯爽と現れるシーンまではテンションが高いのに、竹内さんのマリーに無理無理無理!となったり(贅沢者!)、君原さんが相手役となってテンションが下がったり(失礼!)、なんだか長谷川さんを見ていると、当時の彼らもいまの男の子とたちと変わらないんだなあと感じることができました。

とみ~のお芝居を生で見るのはオバリぶりだったのですが、「芝居がしたい、芝居がしたい!」というお芝居を愛する気持ちを口に出さずに居られなかった長谷川さんは、どことなくとみ~を感じるなあと思いました。

このカンパニーのみんなといることや、この宝塚BOYSという作品に出演できていることがすごく楽しいんだろうな、嬉しいんだろうな、ということが、公演中のTwitterなどから痛いほど伝わってきていたので、千秋楽の挨拶で話を振られただけで泣いてしまうとみ~を見て、なぜかわたしも泣けました(わたしはとみ~の涙にとても弱い)

ダンスシーンも、ボールルームの企画の経験があったからか、ターンがとてもきれいだった…!君原さんとのダンスシーンで、キスを飛ばすところ、チャーミングでだいすきです!

 

 

強面の山田さん。登場シーンはまるでヤのつくお家の方のようで、ビビりました。でもお稽古のシーンでは一生懸命星野さんの真似っこをしていて、すぐに悪い人ではないかもしれないと思いました。

「文句は俺のこぶしの届くところで言え!」という口ぐせは、正義感の強い山田さんの性格をすごく素敵に表していると思います。わたしはこの台詞と、星野さんが去った後の太田川さんの発言に対して言った「文句はあいつの拳の届くところで言え!」がだいすきです!

竹田さんが合流してからはすっかりいじられキャラになって、より一層かわいらしさが増しました。過去を知る竹田さんの登場に焦りまくって、太田川さんに「何語?」と言われてしまうところ、めちゃめちゃおもしろかったです。

お家が日舞の家元だと分かり、そして愚連隊の使いっぱしりだったと分かり、山田さんのドア芸があり、そこまではすごく笑えるのに。特攻隊の話は兄のことだと分かり、母親に手紙を書いていたと分かり「ハッタリかましてでも!俺がしっかりせな!!」と自分に言い聞かせるように話す山田さんを見て、とても苦しくなりました。

このシーン、山田さんと一緒に『かえり船』を歌うみんなの姿を見て、それまでバラバラだった7人が仲間になったように感じました。過去と区切りをつけて、宝塚男子部という夢に向かって居直ったような、そんな雰囲気が感じられる場面だと思います。

合同公演の台本が手渡され、パリを表現しようと騒ぐシーン、ナポレオン!と得意げにするのがとてもかわいらしかったです(すぐ星野さんに却下されてたけど)

長谷川さんの為に竹田さんとすぐ馬の役になるのも、良い人だなあ~~~!という気持ちになる。竹内さんも言っていた通り、本当にやさしいひとだなあと思います。レビューのシーン、口上の中で呼ばれる「みらい かわる」という芸名がだいすき。きっといろんな気持ちが込められている。

山口さんもこのヅカボが初めましてだったのですが、独特な空気と、言葉の端々から山田さんと同じく優しい方なんだろうなあと感じました。千秋楽の挨拶で、このメンバーが愛しくて泣けるというお話をされていて、それを聞いたほかのメンバーも頷いて泣いて、そんな、共演した仲間を愛しいと思う関係ってなんてすごいんだろうと思って、聞いているわたしも泣けました。すごく尊い関係性だなあ。

何目線か分からなくなってしまうのですが、そんな風に共演の方が思うような舞台に、とみ~やおみぞが出演することが出来て本当に良かったです。

 

 

6人より少し遅れて部員となった竹田さん。寮の場面ではいつも他のみんなにお茶を出している印象があります。一番下ということもあるかもしれないけれど、そういう気配りがきちんとできる人。

星野さんに、なんでここにと尋ねられ、結局給料なんだろと少し馬鹿にされるように言われ、「生きるために」と返すあのまっすぐな強いまなざしがすきでした。

顔が良くて、歌がうまくて、お前ならいける!と周りに薦められ、宝塚のことも演劇のこともなんにも分からないのに部員に志願して、そして部員になってしまうところが、竹田さんのすごいところだなと思います。

竹田さんからは「生」という印象をつよく感じたように思いました。うまく言えないけれど、父親のこともあったからか、いつでも「生」と「死」が近くにちらついていたような、なんだかそんな感覚。ともすれば竹田さんもなにかがきっかけで、ふいにいなくなってしまいそうな雰囲気があった(とわたしは感じました)

生徒たちと関わりを持つことに対しても、いけないことだと分かっていながら、「すきになってはいけないのですか」と上原さんにまっすぐ返すことのできるこころの強さ。あそこのぴりりとなる空気感、とてもすきです。

戦死通告が届く場面。言葉はほとんどないけれど、見ていてとてもつらい。わたし、竹田さんは父親に見つけてもらいたくて、父親が帰ってきたときに驚いてほしくて、男子部に入部したという気持ちもちょっとだけあるのではないかと考えていたので、父親が死んだと分かった時点で、竹田さんの夢は敗れてしまったのかもしれないと思いました。

太田川さんを探しにみんなが出て行ってしまった寮で、君原さんにかけられる「竹田くん、だいじょうぶ…?」という言葉と、そのあとの表情に涙が出た。

一馬のお芝居を見るのもテニミュぶりだったのですが(しかも映像でしかみたことない)すごく繊細なお芝居をされる方だなあと思いました。竹田さんという役がそうだったからなのか、分からないけど。目が大きくてお顔が華やかだからか、レビューのシーンでどこにいるのかすぐ分かりました。タキシードがすごく似合っていた!かっこよかったなあ。

まだ竹田さんが入ってくるところまで稽古が進んでいない段階でパンフレットに掲載されていた対談をしていたようなので、もっと進んだ先だったらどんな話が聞けたかなと気になります。

 

 

志望して入部してきた他の6人と違い、唯一「頼まれて」入部してきた星野さん。正直、登場してきてから恋文事件のところまでは、なんてやなヤツなんだ~~!と思っていました。笑

あてつけの用にくるくる回るし、脚を上げるし、他の6人を見下しているような態度がすごくむかついた…!(そういう風な気持ちにさせる中塚さんがすごい)

だけど星野さんの気持ちになって見れば、自分より全然レベルの低い人達の中に放り込まれて、きっとダンサーとしての誇りやプライドが我慢ならなかったのではと思う。そして自分の実力なら誰よりも早く大劇場に立てるという自信があっただろうに、それも叶わなくて……。

でもあの夜、急に他の6人との距離が縮まったのは、大劇場へ出演する2人が「馬の脚役」だと知り、男子部がひとりの役者として宝塚に求められていないことに脱力したからなんじゃないだろうか。このシーン以降から急に星野さんのことがすきになるので、自分でも単純だなあと思います。

あとこのとき、竹田さんの生い立ちを聞いて星野さんが「親父さん、帰ってくるといいな」というようなことを言っていました。そしてそれを聞いてほかの部員が顔を見合わせるような素振りをする。星野さんの優しい性格が垣間見える場面だとも思います。

合同公演の台本を貰った場面。全然興味ないという振りをしながらものすごく気にしているし、ひらり~!と呼ばれて、にこにこ顔でみんなに駆け寄るところ、とってもかわいかった!

お稽古の場面、フランスを再現することにとても積極的だし、なによりみんなが思い思いにフランスを表現する中、判断を星野さんに仰いでいるところににこにこしました。う~~~ん…と深く悩んでからの「フランス国旗!」がめちゃすきです!

他の劇場でダンサーとして出演することもある星野さんだけど、大劇場じゃないと意味ないという発言があったように、気づけば他のみんなと一緒に大劇場で公演をすることを「夢」としていたのだろうなと思いました。

でも、叶わない夢を追い続けることの虚しさもきっと知っているから、最後には男子部を辞めるという決断もできたのだと思います。7人の中で唯一自分から、男子部を辞めるという選択ができた星野さんはすごい。

レビューシーンのダンスは圧巻だった。ほんと~~~にかっこよかったな~~~~!!赤い照明に照らされて、セクシーとはまたちょっと違う、艶っぽいダンスがとてもすてきでした。

 中塚さんも今回初めて知った俳優さんだったのですが、アフトでみんなから歩き方がヤンキーと言われていたり、たかとくんと一馬に勝手に服を着られたりしていて、見た目はちょっとキツめだけど、いじられがちなかわいい人なんだなと思いました。

と思えば6人に対して「ハウス!」と言ったり、アニキ感がすごくて、その関係性にほっこりした気持ちにもなった。

 

 

レビューのシーンが始まる前、後ろから迫ってくる大階段を驚くように、そして噛みしめるように見る池田さんに、胸がいっぱいになりました。最後のレビュー、めちゃめちゃ泣いてしまうのだけど、その涙がうれしさなのか感動なのか悔しさなのか悲しさなのか、結局分からないままだった。

「おお宝塚」のなかに、「知る人もなき少女歌劇を今は誰もが知っている」というような歌詞があって、それを笑顔で彼らが歌うことの悔しさとか苦しさと残酷さがなんとも言えなかったです。

 

お稽古は結局、お稽古のままで終わってしまった。夢のレビューは結局、夢のままで終わってしまった。本当にあったことだからこそ、こういう結末になるのだと思います。

なんだか観終わった後、「彼ら」をここに連れてきてくれているのだなと強く感じました。上手く言えないのだけど、あのとき生きていた彼らを今に連れてきて、そして舞台の上で彼らは生きている。

男子部のことだって本などで文字として知ることもできるけれど、こうして動き、笑い、泣く彼らを生で観ることで、より一層、本当に彼らは存在したのだと、確かに生きていたのだと思えました。

1日に観に来ていらした元男子部の吉井さんが「彼らを連れて来てくれて、夢を引き継いでくれてありがとう」といったことをお話されていてめちゃめちゃ泣きました。

お芝居ってすごい。時空を超えて、その人物を生かすことで、歴史を伝えることができる一つのツールにもなるのだと改めて気づけた舞台でもありました。

私は大学時代、歴史を専攻していて、しかも大正~昭和の学生について学んでいたのですが、宝塚に男子部があったことなんて全然知らなかったので、今回、いちばん彼らが生きていたと思えるようなかたちで知ることができ、本当によかったなあと思います。

 

千秋楽の挨拶で、たかとくんが「だいちくんが、この『宝塚BOYS』に関われた人はしあわせだ、とよく言っていて、決めつけるみたいになってしまうけれど、今日観たお客さまもきっとみんなしあわせだと思う」 と話していました。

こんなに心を震わされるお芝居を観られたこと、本当にしあわせです!!!!!

 

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